出産を終えた病室で、ペットカメラを確認した瞬間、私は息を呑んだ。画面には、自宅で見知らぬ女性とイチャつく夫の姿が映っていた。「嫁は1週間近く帰ってこないから、ここでゆっくりしたらいいよ」と、彼は平然と女性の肩に腕を回している。私は命がけで娘を産んだのに、夫は「仕事が忙しい」と嘘をつき、病院にも来なかった。あの日、私は義両親に証拠の映像を見せ、退院までの4日間、離婚に向けての計画を練った。そし…

出産を終えた病室で、ペットカメラを確認した瞬間、私は息を呑んだ。画面には、自宅で見知らぬ女性とイチャつく夫の姿が映っていた。「嫁は1週間近く帰ってこないから、ここでゆっくりしたらいいよ」と、彼は平然と女性の肩に腕を回している。私は命がけで娘を産んだのに、夫は「仕事が忙しい」と嘘をつき、病院にも来なかった。あの日、私は義両親に証拠の映像を見せ、退院までの4日間、離婚に向けての計画を練った。そし...

出産を終え、病室でペットカメラの映像を確認した瞬間、私は息を呑んだ。画面には、自宅で見知らぬ女性とイチャつく夫・サトシの姿が映っていた。「嫁は1週間近く帰ってこないから、ここでゆっくりしたらいいよ」と、彼は女性の肩に腕を回し、鼻の下を伸ばしている。ペットカメラの存在をすっかり忘れているらしい。私は怒りで手が震えた。

翌日、孫の顔を見に病室へ来た義両親。義母は、昨日私たちの自宅を訪れた際、サトシと会っていたようだ。私はペットカメラに映っていた不倫映像を義両親に見せた。「とも子さん、本当にごめんなさい。私たちにできることがあるなら、何だってするわ」と、2人は協力を約束してくれた。その後、私は退院までの4日間、離婚に向けての計画を練った。

私は宮崎とも子、29歳。飲料会社で働いている。2つ上の夫とは3年前に出会い、昨年結婚したばかり。当時、彼は営業先の担当者だった。「説明すごく分かりやすかったです。ぜひ検討してみますね」と、まだ若手社員で不慣れな私の営業トークを、穏やかな笑顔で聞いてくれたサトシ。契約成立後、私たちは定期的に顔を合わせるようになり、失敗して落ち込む私を、彼はいつもさりげなく励ましてくれた。

ある日、彼から思いがけないアプローチを受けた。「もしよければ、俺と一度食事に行きませんか? できるなら、とも子さんと仲良くなりたい」と。照れくさそうに笑う彼を見て、私まで嬉しくなった。後日、2人でレストランを訪れると、彼は告白してくれた。「一生懸命で努力家なとも子さんが好きなんです。だから、俺と付き合ってください」と。夢のようなシチュエーションに、思わず視界が滲んだ。

2年の交際を経て結婚。夫婦になった決め手は、彼が飼い猫の「まる」を可愛がってくれたことだろう。「子猫を飼っているんだね。可愛い」と、初めて家に来た日、彼は目を細めた。結婚するならペットを大事にしてくれる人がいいと思っていた私は、彼の反応を見て安心した。

プロポーズを受けた後、義実家に挨拶に行った時は緊張した。義両親は思いのほか温かく迎えてくれて、義母はフラワーアレンジメント教室の先生をしているという。家の至るところに花が飾られていて、義母は少しおっちょこちょいな天然だった。私の手土産を「私1人で食べられるかしら?」と勘違いするほど。私は義母を可愛い人だと思った。

だが、結婚直後、サトシは悩みを抱えるようになる。「部長、俺にだけ当たりが強い気がするんだ。他の人なら咎められないようなミスも、俺だけ怒られて」と、帰宅するたびに愚痴をこぼす。職場の上司が高圧的で、もはや職場に行くことすら辛いと嘆く。私は「転職も視野に入れてみたら?」と提案した。すると彼は表情を明るくし、「とも子、ありがとう。でも、仕事本当にやめてもいいの? その間、とも子の収入で生活することになるんだよ」と。私は「さとしなら、次の仕事もすぐに決まるはず。その間は私に任せて」と励ました。

その後、サトシは退職し、半年後、新しい会社で働き始めた。ただ、新人ゆえに収入は以前より少なく、生活費の大半を私が負担することになる。しかも彼は「今が頑張り時だから」と残業続きで、家事を全くやらなくなった。ある日曜日、洗濯物を手伝ってほしいと頼むと、彼は不満げな顔で「なんで俺が? 毎日やってるんだし、自分でやってよ。そもそも洗濯物が溜まったのも、とも子が計画的にやらなかったせいだよね」と言い放った。無職だった半年間も、彼はほとんど家事をしなかった。

「生活費を出しているのは私でしょ。家族としてやるべきことくらいしてよ」と言うと、「家を支えるって自分が提案したんだよ。それなのに今更文句を言われても困るんだけど」と逆ギレされる。彼は「俺は家事とか苦手だし、できればとも子にやってもらいたい」と、面倒そうな顔をする。私は呆れてため息が出た。

そんな日々が続く中、結婚して1年を迎えた頃、妊娠が判明した。「サトシ、私、妊娠したみたい」と伝えると、彼は「え、俺パパになるってこと? 嬉しい。とも子、ありがとう」と、そっと私のお腹に手を置いた。両親や義両親も大いに喜び、幸せに包まれた。私は妊娠をきっかけに彼が変わるのではと期待した。

「子供が生まれたら、しばらくは育児で手いっぱいになると思う。だから、サトシにも家のことをやってもらいたいの」と伝えると、彼は「とも子なら平気でしょ。育休も取るし、今まで通りの生活が続けられるんじゃない?」と。私は「今まで通りなんて無理よ。少なくとも慣れるまでは手伝って」と頼み、彼もしぶしぶながら了承した。

だが、彼の態度はむしろ悪化していく。ある日、つわりで気持ち悪くなり、ソファーで横になっていると、帰宅した彼は「電気もつけずに何してるの? 俺より先に帰ってたんだよね。定食は? 俺腹減ったんだけど、まさか仕事から帰ってきてずっと寝てたとか言わないよね」と怒り出した。事前に連絡を入れていたのに、彼は「だから何? 俺は作らなくてもいいとは言ってないけど、今からでもいいから簡単なの作ってよ」と。

「本当に無理なの。今吐きそうでさ、夕食は自分でどうにかしてほしい」と言うと、彼は「出産なんてまだ先だろ。こんな早くから体調崩してどうするんだよ。妻なんだから料理くらいはやってくれ。俺の母さんは、どれだけ体調が悪くても毎日食事を作ってくれた。とも子は母親になるんだぞ。早く直した方がいい」と、義母と比較して私をけなした。

「とも子がこんなにもダメな妻だとは思わなかった。俺はお前を甘やかしたりしないからな。子供のためにも、もっとちゃんとしっかりしろ」と怒鳴り散らす彼に、言い返す余裕はない。私はフラフラになりながら夕食の準備に取りかかった。

彼は私が体調不良でも心配するどころか、暴言を吐くだけ。「あれ、太った? とも子ってそんなにデブだったっけ?」と、食事を終えて皿洗いをしていると、ニタニタ笑いながら近づいてくる。私は「私は今、サトシの子供を妊娠してるのよ。それなのに、なんで暴言を吐けるの?」と震える声で反論したが、彼は「何被害者ヅラしてるの? 俺はとも子と子供の健康のために注意してるんだよ」と、さらに言葉を続けた。

その頃から、サトシは一層そっけなくなっていった。帰宅しても私に目もくれず、事務的な会話のみ。2人で夕食を食べる日も、無表情で時折、私を軽蔑するような目で見てくる。私は離婚を考えるようになるが、子供が生まれたら彼も変わるかもしれないと、思いとどまっていた。

義母の存在も、離婚を踏み切らなかった理由の1つだ。つわりがひどかった頃、彼女がうちに来てくれたことがあった。「とも子さん、大丈夫?」と心配そうな表情で。サトシは得意げな顔で「ほら、とも子。最近家事サボりがちだろ。だから母さんに色々教わった方がいいと思って」と言ったが、義母は「私はただ、とも子さんの体調が悪いって聞いたから来ただけよ。家族だから心配するのは当然じゃない」と、私の代わりに掃除や洗濯をやってくれた。

「家事が嫁の仕事なんて、私はサトシに教えた記憶はありません。とも子さんができないなら、サトシがやればいいでしょ」と、義母はサトシを厳しく注意してくれた。彼女は妊娠中、専業主婦だったという。サトシは「母さんは妊娠中も仕事と家事を両立していた」と思い込んでいたが、それは勘違いだった。義母は帰り際にも「あんたは父になるんだから、もうちょっと家事を覚えなさい」と、改めて注意してくれた。

だが、義母が帰った途端、サトシは「お前、知らない間に母さんに何か吹き込んだな。母さんを味方につけたからって、いい気になるなよ」と、険しい顔で私を睨んだ。彼は義母の言葉を全く聞く気がないようだった。

安定期に入った頃、サトシの言動が怪しく感じられるようになる。彼は「仕事だから」と土日も家を開け、スマホを離さなくなった。画面を見てニヤニヤ笑うこともある。「楽しそうだけど、何しているの? ゲームかしら?」と聞くと、彼は「何? ゲームしたらダメなの? せっかくの休みなんだし、好きなことさせてくれよ」と、目を吊り上げた。

彼は頻繁に私の容姿を侮辱するようになった。「会社には子供がいる女性社員が何人もいるんだ。だけど、みんな綺麗なんだよ。とも子はあんな風に体型戻せるのかな?」と。私は「まだ子供が生まれてないのに、そんな話する必要ある? それに比較されていい気はしないんだけど」と反論したが、彼は「悪かったって。俺はただとも子に頑張ってもらいたいだけなんだよ」と、笑いながら流した。

あまりの態度の変わりように、不倫を疑ってしまう。彼は土日出勤の時だけ、毎回髪をしっかりセットしている。帰宅が遅い日は、必ずと言っていいほどいい香りがする。決定的な証拠は掴めないが、どうしても違和感が拭えない。私は証拠を掴んでから問い詰めようと考えた。

出産予定日が迫ったある日、陣痛が始まった。私は急いでサトシに連絡を入れた。「もうすぐ病院に向かうことになりそうなの。今から帰ってこれない? 連れて行ってもらえると助かるんだけど」と。すると彼は「ああ、悪い。今から急ぎの仕事があるんだ。だから病院には行けない」と。私は「何も今すぐ生まれるってわけじゃないのよ。仕事が終わった後でいいから、病院に来て」と頼んだが、彼は「俺の立場分かってる? まだ働き始めて1年くらいなんだ。新人が仕事を相対なんてできないよ」と、一方的に電話を切った。

その後、何度かけても繋がらない。私はショックのあまり呆然としたが、1人で出産に臨むしかない。タクシーで病院へ向かい、11時間後、無事に女の子を出産した。小さな娘を見て、自然と涙がこぼれた。「生まれてきてくれてありがとう」。だが、サトシは結局来なかった。

落ち着いた頃、スマホでペットカメラの映像を確認した。すると、そこには自宅で見知らぬ女性とイチャつくサトシの姿が映っていた。「嫁は1週間近く帰ってこないから、ここでゆっくりしたらいいよ」と、彼は女性の肩に腕を回している。私は怒りで手が震えた。

翌日、義両親が病室に来た。義母は「昨日、サトシに会ったのよ。家に女の子が遊びに来てたけど、共通の友達だって言ってたわ」と話した。私はペットカメラの映像を見せると、義両親は顔を青くした。「ありえない。サトはとも子さんを裏切ったのか」と。義母は「今すぐ自宅に乗り込んで、サトシをここに連れてくるわ」と怒り出したが、私は「ここは病室です。他の妊婦さんにも迷惑がかかるかもしれないので、サトシを連れてくるべきではないかと」と止めた。

「私が自ら離婚を切り出します。ただ、お父さんたちにも協力してもらえたらと思います」と伝えると、義両親は「とも子さん、本当にごめんなさい。何でも言ってくれ。必ず力になる」と約束してくれた。

退院当日、私は娘を母に預け、義両親と共に自宅へ戻った。玄関を開けると、そこには見知らぬ女性の靴があった。リビングに乗り込むと、サトシと不倫相手がいた。「ただいま、サトシ。彼女は誰?」と問いかけると、彼は「え? なんで? 退院日は明日のはずじゃ」と慌てた。義母が「あら、ごめんなさい。私ったら1日間違えてサトシに伝えていたかしら」と、わざと間違えた日付を伝えていたのだ。

サトシは「彼女はただの友人で、家の掃除を手伝ってもらおうと思って」と言い訳を始めたが、私はペットカメラの映像を突きつけた。そこには、寝室のベッドで眠る2人の姿が映っていた。「この映像を見ても、不倫じゃないって言えるの?」と問いかけると、2人は愕然とした。

義母が「はるかさん、苗字は何?」と尋ねると、彼女は「タオカですけど」と答えた。義母は「やっぱり、年江さんの娘かしら」と。どうやら、はるかの母親は義母のフラワーアレンジメント教室の生徒だったらしい。義母は年江さんを呼び出し、はるかの不倫が発覚した。

年江さんは「はるか、あんた、先生の息子さんと不倫したの?」と激怒した。はるかは「私はサトシに騙されただけ」と言い訳を繰り返したが、年江さんは「わざわざ私たちに嘘をついて会っていたなんて、おかしいでしょ。前にも似たようなことしたわよね」と、冷たい目で見つめた。

はるかは「私、サトシに愛されていた。奥さんはそれが悔しいんだよね」と開き直り、私を馬鹿にした。私は「慰謝料を請求されること、理解してますか?」と告げると、彼女は血の気が引いた。

さらに、はるかはサトシが「役員の息子」だと嘘をついていたことを知り、「ありえない。サトシってば嘘ばっかじゃん」と怒り出した。実は、サトシは私の父が役員を務める会社に、父の紹介で入社していたのだ。彼は「自分の父親が役員」だと偽っていた。

年江さんははるかを連れて帰り、リビングには私とサトシ、義両親が残った。すると、インターホンが鳴り、私の父がやってきた。父はサトシに「君は出産に立ち合わず、不倫をしていたのか? 許せないな。とも子と娘を平気で裏切るなんて」と怒りをあらわにした。

サトシは土下座して謝罪したが、父は「言い訳は無用だ。とも子が動画を見せてくれた。今更、不倫じゃないだのと、しょうもない言い訳はしないでくれ」と。さらに、父は「君の勤務態度の悪さは以前から聞いている。車内でも噂になっているんだよ。既婚者でありながら、女性社員にも言い寄っていたらしいな。複数名の社員が告発したことで、現在君については調査中だ」と告げた。

サトシは「残業だって、土日出勤だって、全部嘘だった」と白状した。彼はアプリで知り合った女性と会っていたのだ。私は「教えてくれてありがとう。今の情報、慰謝料の金額を決めるのに参考にさせてもらうわね」と伝え、事前に用意していた離婚届をテーブルに置いた。

サトシは「嘘だろ? 本気で離婚するの? 娘が生まれるんだぞ。とも子、シングルマザーになるのかよ」と動揺したが、私は「サトシがいてもいなくても変わらない。むしろ、あなたみたいな父親がいたら、娘に悪影響だから。私は1人で育てていくって、もう決めたの」と告げた。

すると、彼は「なんでとも子はそんなに偉そうなんだよ。俺が不倫した原因はお前なんだぞ。妊娠した途端、ブクブク太って寝てばかり。俺が転職活動で悩んでるのに、家事まで押し付けてきやがって。そんな嫁、誰が愛せるんだよ」と、私を責め始めた。

義母が「ふざけんじゃないわよ。サト、本気で言っているの?」と、今まで見たことがないほど怖い顔で怒鳴った。「自分の子供を妊娠している妻を気遣いもせず、家事を押し付けて、挙げ句の果てに不倫するなんて。冷たいのはサトの方じゃない」と。義父も「母さんの言う通りだ。サトにはもう娘に会う権利なんかないんだよ。とも子さんのためにも、署名しなさい」と、離婚を促した。

サトシは「俺が離婚したら、母さんは孫に会えなくなるんだぞ。それでもいいのかよ」と反論したが、義母は「覚悟の上で言ってるわよ。そんなこと。このバカ息子、あんたなんかもう私の子じゃないわ」と。

サトシは震える手でペンを持ち、離婚届に署名した。父は「落ち込んでいるところ悪いが、会社でも君の処遇を考えさせてもらうからな」と告げた。サトシは「いやいや、部長、さすがにそれは。確かに俺はとも子さんと離婚しました。でも、仕事と生活は別です。これからも会社を続けさせてくださいよ」とすがりついたが、父は「誤解するな。何もとも子と離婚したから処分を下すわけではない。君は社員とトラブルを起こしただけでなく、何度も仕事をサボっていただろう」と。

父はサトシに自宅謹慎を言い渡し、義両親は彼を家から追い出した。サトシは「嫌だ。荷造りなんてしたら、追い出されるだろ。俺がホームレスになってもいいのかよ」と情けない姿を見せたが、義父に腕を掴まれ、無理やり連れて行かれた。

私は「彼と結婚したことに後悔するけど、娘に出会えたのはサトシのおかげ。娘は私が絶対に幸せにするから安心して。だから、2度と関わってこないでちょうだい」と告げ、玄関のドアを閉めた。

その後、サトシは会社を解雇され、慰謝料と養育費を借金して支払った。義両親は彼と絶縁し、彼はボロアパートで1人寂しく暮らしているという。はるかも両親から絶縁され、彼氏にも振られ、慰謝料を支払うために借金をして、職場で白い目で見られながら働いているらしい。

私は今、実家で子育てをしている。生後半年を迎えた娘の名前は「詩穂」。よく笑う可愛い子だ。両親に支えられながら、どうにか育児をこなしている。義母とは今でも定期的に連絡を取り合っていて、今度、義両親が詩穂に会いに来ることになっている。サトシの顔は2度と見たくないが、義両親とは今後も仲良くやっていきたい。

ちなみに、まるも詩穂を可愛がってくれている。1人と1匹が身を寄せ合う姿を見ると、心が温かくなる。大事な家族と共に、詩穂の成長を見守っていきたい。

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